住宅ローンで固定金利にするか変動金利にするかは悩ましい問題です。どちらがよいかは状況(金利水準や個々人のローン内容)によって異なります。
しかし今は原則、固定金利を選択することをお勧めします。理由は超低金利時代だからです。
超低金利の時はどうして固定金利がよいのか?
超低金利の時は固定金利を選択したほうがよいのは、変動金利にした時のメリットとデメリットのバランスが合わないからです。具体的に説明します。
固定金利にして「失敗した」と感じる瞬間はローン契約時よりも金利が下がった時です。世の中の金利が下がっても固定金利を選択しているとそのメリットを享受できません。
例えばバブル時のような高金利時代に固定金利を選択した人は、後に金利がどんどん下がっていくのをはた目で見て悔しい思いをしたことでしょう。人によっては2%も3%も損された方もいると思います。
このように固定金利を選択すると金利が下がった時のメリットを享受できないという問題があります。だからこそ固定金利にするか変動金利にするか皆さん悩まれるわけです。
しかし現在のような超低金利時代は「金利の下振れ」は限定的なのでそのようなことを気にする必要はあまりありません。
2017年9月現在、住信SBIネット銀行の変動金利は0.444%、30年固定金利は1.20%です。つまり今後、仮に金利が下がったとしても、その下がり幅は最大で変動金利で0.444%、30年固定金利で1.20%ということになります(住宅ローンにおいてマイナス金利になることはまずないでしょう)。
一方、金利の上昇リスクは無限大です。このような超低金利時代は変動金利のリスク(金利上昇)とリターン(金利下落)のバランスが見合わず、固定金利がお勧めなのです。
固定金利と変動金利の金利差が小さくなっている
超低金利時代において固定金利をお勧めする理由がもう一つあります。それは固定金利と変動金利の差が小さいことです。
住信SBI銀行の10年固定金利(2017年9月現在当初引下げプラン)は0.64%で、変動金利との差はわずか0.196%です!変動金利が0.2%上がっただけで逆転してしまうのです。
超低金利時代が続いていると変動金利が0.2%上がるというのは想像しにくいかもしれませんが、決して起こり得ないことではありません。
固定金利と変動金利のわずかな金利差を求めて変動金利を選択するのは、リスク・リターンのバランスを考えた時に割が合いません。
返済期間が長い人ほど固定金利がお勧め
金利は固定期間が長くなるほど高くなります。長期になるほど金利の変動リスクが高くなるからです。金融機関もリスクヘッジする必要があるのです。
住宅ローンの利用者にとっても「長期になるほど金利の変動リスクが高くなる」ということを肝に銘じる必要があります。ローン返済期間が長い人は固定金利にすることをお勧めします。
「金利が上昇したら固定金利に切り替える」は無理
金利が上昇してきたら固定金利に切り替えればいいんじゃないの?と考える方もいます。これは不可能ではないものの、実際問題としては心理的に難しいというのが現実です。
心理的に難しい原因は変動金利の上昇よりも固定金利の上昇が先になることにあります。
例えば変動金利0.65%、固定金利1.35%の時に変動金利を選択して住宅ローンを組んだとします。
半年後、固定金利が上昇して1.55%になったとします(変動金利は契約時のままです)。この時に変動金利から固定金利に切り替えする選択をするでしょうか?恐らく心理的に切り替えがしにくいでしょう。
住宅ローン締結時(固定金利1.35%)の時と比較してしまい、損した気持ちになってしまうからです。あの時に固定金利にしておけばよかったという後悔や自分の選択の過ちを認めたくないという心理が働き、切り替えを難しくします。
そうしているうちに、変動金利と固定金利の差はさらに広がり、ますます固定金利への切り替えが難しくなるのです。