外貨預金は最もやってはいけない資金運用方法の一つです。為替変動リスクがあるからという意味ではありません。
外貨預金は為替手数料等がとても高い上に本来の金利よりも少ない金額しか金利を受け取れないからです。受取金利よりも手数料のほうが高く預け入れるだけで損をしてしまうこともあります。
率直に言って外貨預金はかなり損な金融商品です。この記事ではなぜ外貨預金をしてはいけないのかを詳しくご説明します。
外貨預金をしてはいけない3つの理由
1. 為替手数料がとても高い
外貨預金の場合、円から外貨に両替する時、外貨から日本円に両替する時、それぞれに為替手数料が発生します。
ここからは、外貨預金で人気のあるオーストラリアドル(以下、豪ドル)を例にとって説明します。
東京三菱UFJ銀行の場合、豪ドルの1通貨あたりの為替手数料は買う時も売るときも50銭です(2016年9月2日現在)。円を外貨にして預け入れ、それをまた円に戻すと合計で1円の為替手数料が発生します。
具体的な例で見てみましょう。豪ドルのレートを80円だとします。100万円を豪ドルにして外貨預金にするものとします。
<外貨預金への預け入れ時>
円から豪ドルに両替すると、100万円÷80円=12,500豪ドルとなります。その時の為替手数料は12500×50銭=6,250円となります。
<外貨預金から円に戻す時>
豪ドルのレートに変動がなかったとすると、豪ドルから円に両替する時も、同じく為替手数料は6,250円(12500×50銭)かかることになります。※わかりやすくするため利息分の為替手数料は考慮しない。
豪ドルの外貨預金の場合、預け入れして運用し最終的に日本円に戻すまでに発生する為替手数料は合計で12,500円となります。
東京三菱UFJ銀行の豪ドル1年定期預金の金利は0.800%(2016年9月2日現在)です。100万円を預け入れて利息は1年間で8,000円、源泉所得税控除後で6,400円です。為替手数料だけで約2年分の利息が吹き飛んでしまうのです。
これに対してFXで外貨を運用する場合、為替手数料は発生しません。手数料は0円です。
2. スプレッドが広い
スプレッドとは買値と売値の差です。例えば東京三菱UFJ銀行の場合、豪ドルの買値と売値の差は1円です(2016年9月2日現在)。
実際豪ドルを80.0円で購入する時の銀行が提示する為替レートはTTS(円貨⇒外貨)80.00円 TTB(外貨⇒円貨)79.00円のように提示されます。この時のスプレッドは80.00-79.00=1.00円です。
このレートの時に先ほどと同じように100万円を豪ドルに両替し、それからそれをすぐに円貨に戻した場合にどうなるかを計算してみます。
<外貨預金への預け入れ時>
100万円÷80.0円=12,500豪ドル
<外貨預金から円に戻す時>
12,500豪ドル×79.0円=987,500円
外貨に両替したものをすぐに円貨に戻すだけで100万円が987,500円に減って12,500円も損してしまいました。逆に言えばこの部分が銀行の収益となります。
このスプレッド差によるコストは先ほどの為替手数料とは別に発生するものです。
FXの場合、豪ドルのスプレッドは1銭程度です。東京三菱UFJ銀行の100分の1です。同じ条件で計算するとコストはたったの125円です。
3. 金利が低い
前述の通り、2016年9月2日現在、東京三菱UFJ銀行の豪ドル1年定期預金の金利は0.80%です。100万円を1年間運用して得られる利息は8,000円です。
オーストラリアの政策金利は2016年8月現在1.50%ですから、本来受け取れる金利よりも0.70%も低いのです。
それに対してFXの場合、100万円相当を豪ドル円で運用すると年間で得られる利息(スワップポイントと呼ばれます)は約14,000円程度です。これはオーストラリアと日本の金利差1.49%とほぼ一致しています。
まとめ
これまでのまとめです。100万円を2016年8月現在の環境下で、1豪ドル=80円と仮定して運用した場合に発生するコストと得られる利息です。
これを見ると外貨預金よりもFXのほうがお得であることは一目瞭然だと思います。売買のしやすさなどの使い勝手もFXのほうが優れています。外貨で運用を考える場合、外貨預金を選択する理由は全くありません。
下記でわかる通り、外貨預金で100万円分をオーストラリアドルで1年間運用した場合、なんと年間損益はマイナスになってしまうのです。
種類 | 外貨預金 | FX |
---|---|---|
為替手数料 | 12,500円 | 0円 |
スプレッド費用 | 12,500円 | 125円 |
年間受取利息 | 8,000円 | 14,000円 |
年間収支 | △7,000円 | 13,875円 |
特に東京三菱UFJ銀行の外貨預金が劣っているというわけではなく、日本を代表とする大手銀行のため例として挙させていただきました。外貨預金に関してはどこの銀行でも同じように手数料が発生します。東京三菱UFJ銀行が特別に高いということではありません。