NISA(ニーサ)のことが丸わかり 初めての人でもわかるよう丁寧に解説

NISA

NISA(ニーサ)は2014年1月にスタートした株式投資における非課税制度です。このサイトでは金融庁の情報よりもわかりやすく・詳しい解説を目指しています。2017年度税制改正でNISAの制度内容は大きく改正されています。古い情報記事にお気をつけ下さい。

なぜNISAが創設されたのか?

NISAは毎年一定額内の証券投資に対して配当金や売買益を非課税にするものです。どうして国はこのような優遇を行うのでしょうか?


こういう優遇制度って裏がある気がして怖いんですけど。

NISAが創設されるまでは株式の配当金や売買益に10%軽減税率が適用されていたのを覚えているかな?NISAは10%軽減税率が廃止されるタイミングで登場したものなんだ。

根本には、国は国民に対して健全な投資を行うことを促進したいという考えがあるんだよ。

どうして投資を促進したいんですか?

日本人の持つ金融資産の大半が現預金であることは知っているよね?日本人は投資に対して保守的なんだ。でも超高齢化社会を迎えつつある日本では今後産業だけによる成長余地には懸念がある。だから投資による経済効果を生みだすことが必須なんだよ。

金額は年120万円と限度があるけれど、多くの人にとって10%軽減税率よりも有利な税制制度です。NISAのことを知ってぜひ活用してみて下さい。

金融庁の情報を元にNISAを解説

NISAの制度概要については既に様々なWebサイトで解説されていますが、当ブログでは金融庁の情報を元にさらに詳しく解説します。

金融庁NISA解説ページ

利用できる方 日本にお住まいの20歳以上の方(口座を開設する年の1月1日現在)
非課税対象 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円が上限(非課税投資枠は最大600万円)
非課税期間  最長5年間
投資可能期間 2014年~2023年

金融庁のデータは西暦と和暦が混在しています。混乱しないよう当サイトでは西暦で統一して説明していきます。

利用できる方

日本に住む20歳以上の人が対象です。0歳~19歳の人はジュニアNISA口座を開設することができます。

ジュニアNISAを始めるにあたって知っておきたい10のこと【基本編】

非課税対象

非課税期間に受けた配当金も生じた売買益も全て非課税です。

口座開設可能数

通常の証券口座と違ってNISA口座は1人1口座しか開設できません。途中で証券会社を変更することは可能ですが、その年に既に株式・投資信託等を購入している場合、その年は他の金融機関に変更することはできません。証券会社の選択は慎重に行いましょう。

非課税投資枠

新規投資額で毎年120万円が上限です。以下で詳しく解説します。

(1)毎年新しい投資枠が設定される

例えば2018年に120万円新規投資を行い枠を使い切っても、2019年に新たに非課税枠120万円分が設定されます。

(2)枠が余っても翌年に持ち越せない

2018年に実際行った新規投資が100万円で枠が20万円余ったとしても、残った20万円の枠を2019年に持ち越すことはできません。

(3)売却しても枠は復活しない

保有株を売却しても枠は復活しません。例えば2018年に80万円の新規株式取得を行い2018年中に売却しても、2018年の非課税枠残は40万円(120万円‐80万円)です。

(4)非課税投資枠は最大600万円

最大で同時保有できる非課税投資枠の株式は最大600万円(120万円×5年)です。これは取得価格ベースであり、途中で含み益が増えても関係ありません。

非課税期間

各年に取得した株式の非課税期間は最長5年間ですが、ロールオーバーという仕組みを使うと非課税期間を伸ばすことができます。

例えば2017年に取得した株式の非課税期間は2021年までですが、それ以降も継続してNISA口座で保有したい場合、ロールオーバー(2022年の非課税枠に持ち越し)をすることにより非課税期間をさらに5年間伸ばすことができます。

投資可能期間

2014年からスタートしたNISAは投資期間が2023年で終了します。ただし2023年に新規取得した株式の非課税期間は2027年まで続きます。

シミュレーション


ここまで制度概要を説明してきましたが、まだ理解が難しい部分もあるかと思いますので具体的な事例で理解を深めていきましょう。

2018年にNISAで100万円分の株式を取得したと仮定し、その後のシミュレーションを見てみます。

1. 2022年までに売却

2018年にNISA口座で取得した株式は非課税期間である2022年までに売却すれば非課税です。100万円で取得した株式を150万円で売却した場合、売買差額の50万円がそのまま利益として残ります。

2.通常の証券口座に移管

2022年までに売却しない場合、2つの選択肢があります。一つが通常の証券口座に移管することです。2018年にNISA口座で取得した株式の取得価格が100万円、2022年末の株式の評価額が150万円だった場合、2023年に取得額150万円の株式として通常の証券口座に移すことができます。

通常の証券口座に移管後の売却益については通常の税率が適用されます。例えば2024年に180万円で売却した場合、180万円‐150万円=30万円に対して税金が発生します。

3.ロールオーバーさせる

2022年までに売却しない場合のもう一つの選択肢がロールオーバーです。2023年の非課税枠にロールオーバーさせることによって、2027年まで非課税で保有することができます。

ただし2023年の新規投資枠の残額は120万円-100万円(ロールオーバー分)= 20万円となります。

NISAのデメリット

基本的にメリットの多いNISAですが、デメリット部分も理解しておきましょう。

損益通算ができない

損益通算とは利益と損失を合計したものに課税するということです。例えば通常の証券口座でA株式で50万円の利益、B株式で20万円の損失が出た場合、課税対象は30万円(50万円‐20万円)です。

しかしNISA口座で購入した株式と通常の証券口座で購入した株式は別々に扱われ損益通算ができません。

先ほどの例で言えば通常の証券口座でA株式50万円の利益が出てNISA口座でB株式20万円の損失が出た場合、NISAでの損失は考慮されず、通常の証券口座での50万円の利益に対して課税されるということになります。

繰越控除ができない

通常の証券口座では2017年合計の損失額を翌年に繰り越すことができます。繰り越すことによって翌年の利益額から控除して支払う税金を少なくすることができます。

例えば2017年にトータルで30万円の損失が発生し、2018年に100万円の利益が発生した場合を考えてみます。

繰越控除ができれば2018年に支払う税金は(100-30)×20%=14万円です。しかしNISAの場合、繰越控除ができないため、同じ条件下では2018年に支払う税金は100×20%=20万円となります。

※税率は正確には20.315%ですがわかりやすくするため20%で計算しています。


確かにデメリットは存在しますが、NISAは短期投資ではなく長期投資に向いた制度設計です。長期投資で行えばデメリット部分はあまり気にしなくてもよいでしょう。

 

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