ほとんどの人は株を購入した時の購入価格を大まかにでも記憶しているのではないでしょうか?
買値は損益計算の基準となるため、買値を記憶しておくことは合理的に思えますが、実はこれが正しい投資判断を狂わせてしまう原因になることがあります。
買値を忘れたほうがよい理由
買った株の購入価格を忘れたほうがよい理由は、購入価格を記憶していると購入価格を基準として売却タイミングを決めてしまう傾向が出てくるからです。
あなたは自分が保有している株をどのようなタイミングで売却するでしょうか?
「利益が出た」タイミングでと答えた人はいませんか?これは正しいようで正しくありません。「利益が出た」というのは買値を基準としているからです。
買値基準は利益が出ているときは特に問題は生じません。しかし買値基準は含み損になった時、問題が顕在化します。
誰でも損することは嫌いです。そのため、多くの人はできるだけ損の確定を先延ばししようとする行動をしがちです。いわゆる塩漬けです。
買値基準で株価を見ると、含み損になった時、この塩漬け行動になりやすいという問題点があります。
売却せずに株を持ち続ける塩漬け行為につながりやすく危険です。
本来、適切な株の売却タイミングは、株価が企業価値を上回るまで上昇したとき、もしくは企業価値が株価を下回るまで下落したときです。
買値を基準として判断するのではなく、株価と企業価値の関係で売却タイミングを考えるのが適切な行動です。
あなたの行動を拘束するアンカー効果
あなたが購入した株が何らかの理由で企業価値が落ちたとします。そのために株価が適切ではないと感じたとします。「株価>企業価値」の状態です。
この時、あなたならどうしますか?株価は企業価値以上に評価されているため、いずれか株価は下落する危険性があります。理性で考えれば株を売却するのが理に適った行動です。
もしその時、株価が購入価格を上回っている場合、すぐに売却という行動を取れるのではないかと思います。
しかしその時、株価が購入価格を下回っている場合、躊躇なく売却という行動を取れるでしょうか?
売却するのが理に適っているとわかっているのに売却できないという人が多いのではないかと思います。
買値があなたの投資行動に影響を与えてしまうのです。買値があなたの鎖(アンカー)となって行動を制限します。
今その株価で買うか?を定期的に自分に問う
株を購入したら買値は忘れましょう。株を売却するのは、企業価値と株価が乖離した時です。
定期的に保有株の評価をしましょう。仮にその株を持っていないとして今の株価でその株を買いたいかを自分に問うてみましょう。
そして今の株価で買いたいと思わないのなら売却を検討しましょう。