株や投資信託の売買益には約20%の税金がかかります。配当金や分配金にも約20%の税金がかかります。ただし証券口座の口座種類によって税金の取られ方が少し違います。
自分の口座種類がわからない人は証券会社に確認してみましょう。特別な理由がなければ「源泉ありの特定口座」を選択するのがお勧めです。
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株の税金はどれくらい?どうやって納めるの?
株や投資信託の売買益には約20%の税金がかかります。配当金や分配金にも約20%の税金がかかります。
税金の納め方は証券口座の種類によって異なります。口座種類には「源泉ありの特定口座」「源泉なしの特定口座」「一般口座」の3種類があります。順に説明します。
♦源泉ありの特定口座
取引の都度、証券会社が税金を差し引いてくれます。税金の納付も証券会社が行ってくれるため、確定申告をする必要がありません。
♦源泉なしの特定口座
証券会社が作成した年間取引報告書をもとに自分で確定申告を行い税金を納付します。
♦一般口座
自分で年間取引報告書を作成し、確定申告を行い税金を納付します。
投資家にとって一番負担のないのが「源泉ありの特定口座」です。大多数の方は源泉ありの特定口座を選択しています。特段の理由がなければ源泉ありの特定口座を選択することをお勧めします。
口座種類 | 特徴 |
源泉あり特定口座 |
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源泉なし特定口座 |
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一般口座 |
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面倒な「源泉なしの特定口座」や「一般口座」を選択する人がいる理由は?
前述のとおり、特段の理由がなければ源泉ありの特定口座を選択するのがよいでしょう。税金を自動的に計算し、確定申告の手間がありません。
それでは「源泉なしの特定口座」や「一般口座」を選択する人がいるのはどうしてなのでしょうか?気になるところですよね。
資金を効率的に使いたい
源泉ありの特定口座の場合、株式の売買で100万円の利益が出ても約20%の税金分が源泉されるため口座の増加額は80万円です。これに対し源泉なしの特定口座や一般口座の場合、口座の増加額は100万円です。その分だけ資金を効率的に使うことができます。
売買益(譲渡益)20万円以下であれば確定申告をしなくてもよい
源泉ありの特定口座で年間20万円の株式売買益が出た場合、自動的に約4万円の税金が徴収されます。このお金は戻ってくることがありません。
しかし源泉なしの特定口座や一般口座であれば、年間20万円以下の利益※であれば確定申告不要で、余計な税金を取られることがありません。
源泉なし特定口座で譲渡益20万円以下でも確定申告が必要な場合とは?
法人は特定口座が開設できない
特定口座は個人のための制度です。そのため、法人で株式取引を行う場合は一般口座を開設することになります。
源泉あり特定口座でも確定申告する場合があるって本当?
源泉あり特定口座はどんな場合でも確定申告は不要ですが、自分にメリットがある場合は確定申告をすることもできます。メリットがあるのは次の2つのケースです。
複数の口座をもっていて損益通算したい場合
一つの証券会社のみで源泉あり特定口座を利用している場合は、年間で利益が出た取引と損した取引を通算して税金を計算してくれます。これを損益通算と言います。
しかし複数の証券会社を利用している場合は、自動的に損益通算ができません。損益通算をするには自分で複数の証券会社の取引を合算して確定申告をする必要があります。
一つの証券会社で運用 | 複数の証券会社で運用 | |||
利益 | 源泉 | 利益 | 源泉 | |
A株式 | 100万円 | 20万円 | 100万円 | 20万円 |
B株式 | -30万円 | -6万円 | -30万円 | 0万円 |
合計 | 70万円 | 14万円 | 70万円 | 20万円 |
仮に確定申告しなかった場合、本来14万円の税金でよいところ、20万円の税金を納めることになります。
損益繰越をしたい場合
例えば2018年に100万円の損失を出したとします。この損した金額を確定申告しておくと、翌年から3年間、利益と相殺することができます。その分、節税することができます。
確定申告しない | 確定申告する | ||
年 | 年間利益 | 税金 | 税金 |
2018年 | -100万円 | 0万円 | 0万円 |
2019年 | 30万円 | 6万円 | 0万円 |
2020年 | 40万円 | 8万円 | 0万円 |
2021年 | 30万円 | 6万円 | 0万円 |
確定申告をしたら損をすることがあるって本当?
前述したように、源泉あり特定口座の場合、確定申告はする必要がありません。自分にとってメリットがある場合のみ、確定申告をすることができます(義務ではありません)。
しかしメリットがあると考えて確定申告したにも関わらず、気をつけないと思わぬ損をすることがあります。それはどうしてなのでしょうか?
株式の譲渡益や配当金は申告分離課税なので、給与所得などとは別に税金が計算されます。どんなに株式の売買で利益が出ても税金は約20%です。
しかし確定申告をすると税金には影響はなくても「所得」に影響が出ます。確定申告で譲渡益の所得が加算されることによって、国民健康保険料が上がったり、扶養控除や配偶者控除の対象から外れてしまうことがあります。子ども手当などの給付金も減額される可能性があります。
これを回避する方法はありますが、手続きと税金に対する正しい理解が必要です。
源泉あり特定口座と源泉なし特定口座の違いまとめ
個人の方が一般口座にするメリットは基本的にないため、ここでは源泉あり特定口座と源泉なし特定口座の違いをまとめます。
源泉あり特定口座 | 源泉なし特定口座 | |
確定申告の必要性 |
必要なし(損益通算等のために確定申告することもできる) |
必要(ただし、20万円以下の場合※、しなくてよい) |
税額 | 譲渡益・配当金に対して約20% |
譲渡益・配当金に対して約20%(ただし20万円以下の場合※、納税不要) |
納税の仕方 | 証券会社が取引の都度、源泉する | 確定申告で自分で納める |
※注意:20万円以下は確定申告不要の意味
20万円以下の場合というのは、給与所得・退職所得以外の所得と合わせて20万円以下です。例えばアフィリエイト等で雑所得があった場合、それと合わせて20万円を超える場合、確定申告や納税が必要です。
お勧めは一つの証券会社で源泉あり特定口座での運用
多くの人にとって一番使い勝手がよいのは「一つの証券会社で源泉ありの特定口座で運用」することではないでしょうか?
一つの証券会社だけで特定口座(源泉あり)で運用すれば、確定申告をすることなく損益通算をすることができます。確定申告をしなければどんなに利益が出ても、国民健康保険料が上がったり、扶養控除や配偶者控除から外れてしまうようなことはありません。
確かに年間20万円以下の利益の場合は源泉なしの特定口座のほうが有利です。しかし有利さも最大で約4万円です。
源泉なしの特定口座を利用して年間利益が20万円を超えた場合、確定申告をする必要が生じます。また確定申告をすることにより前述したようなデメリットを生じる可能性があります。
トータルで考えると一つの証券会社で源泉ありの特定口座での運用が簡単でメリットも多くお勧めです。