立会外分売では対象となる株が前日終値の1~3%程度のディスカウントで売り出されます。このディスカウントをうまく利用すると高い確率で利ざやを稼ぐことが可能です。
今回は立会外分売を利用したローリスクトレードを丁寧に解説します。
なぜディスカウントで売り出されるのか?
立会外分売ではなぜディスカウント価格で株が売り出されるのでしょうか?「何か裏があるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし立会外分売は決して後ろめたい取引ではありません。
立会外分売は企業や大株主が証券取引所の取引時間外に大量の株式を売り出す取引です。時間外に行うのはマーケット(通常の取引時間内)に大量の株式を売却すると株価が大きく値崩れすることが懸念されるからです。
企業や大株主は株価の値崩れを避けながら大量の株式を売却するために、投資家に対して有利な条件を提示して円滑に取引を進めようとしているのです。
企業や大株主が大量の株式を売却する理由は様々です。一例としては「株主数を増やすため」「事業投資用の資金確保のため」などが考えられます。
立会外分売トレードでの利益シミュレーション
立会外分売トレードでどれくらいの利益が見込めるのでしょうか?具体例で考えてみましょう。
例えば2月10日に立会外分売を予定している株式の2月9日(立会外分売予定日の前日)の終値が1000円だったとします。
この場合、2月9日の夕方に売出価格が発表されます。3%のディスカウントの場合、970円ということになります。
立会外分売は抽選です。おおむねどの証券会社も前日17時くらいから当日8:20までが申込期間です。
抽選なので慌てて申し込む必要はありません。むしろ後述するように当日の締め切りギリギリに申し込むのがよいでしょう。
抽選結果がわかるのは当日(2月10日)9時くらいです。抽選に当選していたらそのまま売却します。
仮に前日の終値の1000円で売却できた場合、(1000円-970円)× 100株 から 売却手数料を控除したものが利益です。売却手数料が200円だった場合、2800円が利益となります。
※最低取引単位の100株で計算しています。
※立会外分売では購入手数料はかかりません。手数料は売却時のみ発生します。
このトレードの注意点
前述のシミュレーションは2月10日の寄り付きで前日終値と同じ1000円で売却した設定で説明していますが、実際は前日終値よりも下がって寄り付くこともあります。場合によってはディスカウントで取得した価格よりも下がることもあります。そのような場合、立会外分売で株式を取得して即売りしても損失になることがあります。
これを避けるためには立会外分売の申し込みを当日8:20ギリギリに行うことです。それまで当日の寄り付き状況を見て抽選に申し込むかどうかを判断します。
寄り付き状況が前日終値と同水準か上の場合は抽選に申し込みます。寄り付き状況が前日終値よりも下の場合は抽選申込を見合わせます。100%ではありませんがこうすることによってこのトレードの勝率を高められます。
立会外分売即売りトレードの勝率を高める方法
前述したように、抽選当日の締め切り時間8:20ギリギリに申し込むのが立会外分売即売りトレードにおける大事なポイントです。
その他、合わせてPTSの値動きを見ておくとよいでしょう。PTSは時間外取引です。PTSの価格は実際に取引を行った結果なので、寄り付き情報より信頼性が高いと言えます。
PTSでの株価が前日終値と同水準以上で推移していれば、立会外分売即売りトレードの成功確率がかなり高まります。
PTSとは? | 取引所との違いやメリット・デメリットを詳しく解説
このトレードの課題
前述の注意点を守ることにより、立会外分売の即売りトレードは高勝率で利ザヤを稼ぐことができるでしょう。しかしそれでも次のような課題があります。
- 朝の忙しい時間帯に情報収集したりトレードする必要がある。
- 手間のかかるわりには利益が少ない
- 抽選に外れる場合もある。
- 多くの場合、抽選に当選しても最低単位100株である
まとめると「投資機会が限定され利ザヤ少ない」ということがこのトレードの欠点です。それでもローリスクで確実に利益を積み重ねたいという考えの方にはやる価値のあるトレードと言えるでしょう。
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