住宅ローンの借り換えはラストチャンスの時代に突入したと言われています。
10年固定金利でも1%程度と歴史的な超低金利水準にあるため、借り換えによって低金利の恩恵を十分に享受できるケースが多くなっています。
今回は住宅ローンの借り換えで得するケース、損するケースを具体的事例で確認していきます。
住宅ローン借り換えに適した3つの条件とは?
一般的に次の3つの条件を満たした場合、月々の返済額や総返済額を減額できる可能性が高く、借り換えの検討をする価値が十分にあると言われます。
- ローンの残額が1000万円以上ある
- ローンの残存期間が10年以上ある
- 借り換えの前後で1%以上の金利差がある
ただし、この条件に満たない場合でも借り換えしたほうが得なケースも多くあります。上記の条件に満たないからといって自分は対象外であると決めつけてはいけません。具体的にシミュレーションして判断しましょう。
住宅ローン借り換えの3つのメリット
1.月々の返済額を減らすことができる
住宅ローンの借り換えのメリットの一つ目が、月々の返済額を減らすことができるということです。
<事例>
・ローン残高:2500万円(元利均等返済)
・残返済期間:25年
・借換諸費用:25万円(ローン残額の1%と想定)
・現在の金利:2.2%
・借り換え後の金利:1.4%
現在 | 借り換え後 | 借り換え効果 | |
ローン残高 | 2500万円 | 2525万円 | |
残返済期間 | 25年 | 25年 | |
金利 | 2.2% | 1.4% | |
月返済額 | 108,415円 | 99,802円 | 8,613円 |
年間返済額 | 1,300,980円 | 1,197,624円 | 103,356円 |
総返済額 | 32,524,500円 | 29,940,600円 | 2,583,900円 |
借り換えに必要な諸費用はローン残高に上乗せするものとして計算しています。
結果は月返済額で8,613円の減少です。総返済額においては2,583,900円もの削減効果となります。金利差が1%未満でも十分な借換メリットが得られます。
2.返済期間を短くすることができる
住宅ローンの借り換えで月々の返済額を削減する方法の他に、月々の返済額を現状と同程度の金額にして「返済期間を短くする」という方法もあります。先ほどと同じ条件でシミュレーションします。
現在 | 借り換え後 | 借り換え効果 | |
ローン残高 | 2500万円 | 2525万円 | |
残返済期間 | 25年 | 23年 | 2年 |
金利 | 2.2% | 1.4% | |
月返済額 | 108,415円 | 107,057円 | 1,358円 |
年間返済額 | 1,300,980円 | 1,284,684円 | 16,296円 |
総返済額 | 32,524,500円 | 29,547,732円 | 2,976,768円 |
月返済額をほとんど同額にすると、返済期間を2年短縮することができます。
月々の返済額を減らすよりも「なるべく早く住宅ローンを完済したい」という方にはこちらの方法がお勧めです。この方法のほうが総返済額をより減らすことができるからです。
3.固定金利への切り替え
超低金利時代の現在、30年固定で1%台の金利を提示している銀行もあります。固定金利と変動金利の差が少なくなってきました。
わずかばかりの金利差を求めて変動金利にするよりも、将来の支払が確定する固定金利にすることをお勧めします。
住宅ローン借り換えで知っておきたい3つのこと
デメリットというわけではありませんが、住宅ローン借り換えを検討する際、知っておきたい3つのことをご紹介します。
1.新たに手数料や諸費用が発生する
住宅ローンを新規に組んだ時と同様に住宅ローンの借り換え時にも手数料や諸費用が発生します。
保証料、事務手数料、司法書士報酬などです。これらの費用は合計すると、住宅ローン残高の1%が目安となります。
ただし先ほどのシミュレーションのように、諸費用がかかってもトータルの総返済額は減るケースがほとんどです。また諸費用もローンとして組める銀行がありますので「借り換えをしたいけど初期費用が捻出できない」という場合もあまり心配しなくて大丈夫です。
手数料や諸費用について、より詳しく知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧下さい。
2.金利上昇のリスク(変動金利の場合)
住宅ローンの借り換え時に検討する金利は変動金利が注目されがちです。銀行も変動金利をアピールします。固定金利よりも金利が低く、魅力的に見えるからです。
しかし、変動金利で試算したシミュレーションで借り換えをしたほうが得との結果が出ても、金利が上昇すると今よりも不利になることがあります。
目の前の有利さに目を奪われることなく冷静に判断しましょう。返済期間が長ければ長いほど金利変動リスクは増します。
将来の金利変動が不安であれば、長期の固定金利を選択するほうがよいでしょう。
3.労力がかかる
住宅ローンの借り換えは新規で住宅ローンを組んだ時と同じくらいの労力が必要です。むしろ販売業者が手取り足取り教えてくれた新規ローン時よりも、何もかも自分で調べてやらなくてはならない借り換えのほうが大変かもしれません。
しかしそれでも数週間の労力で数年分の住宅ローンが軽減される可能性があるのです。将来のことを考え、頑張りましょう。