2017年から主婦の方もiDeCoに加入できるようになりました。しかし残念ながら現状の制度では所得のない専業主婦の方がiDeCoに加入するメリットはありません。拠出金が所得控除されるというiDeCoの最大のメリットを受けられないからです。
拠出金が所得控除されるとは?
iDeCoでは拠出金が全額所得控除されます。
例えば年間所得300万円の人の税率(所得税・住民税合計)が20%の場合、300万円×20%=60万円が税金となります。この人がiDeCoで年間30万円の拠出をすると所得が300万円-30万円=270万円とみなされ、税金は270万円×20%=54万円となります。
iDeCoに拠出することによって60万円-54万円=6万円の節税ができるわけです。
<通常の税金は>
300万円×20%=60万円
<iDeCoに30万円拠出すると所得控除される>
270万円×20%=54万円
<節税額は>
60万円-54万円=6万円
専業主婦の場合、所得控除による節税ができない
iDeCoの最大の特徴であり最大のメリットは拠出金が全額所得控除できるという点です。
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しかしながら、所得のない専業主婦の場合、このメリットを生かすことができません。節税ができるのは、税金を納めている場合に限られます。税金を納めていない場合、iDeCoに拠出しても節税効果はゼロです。
ちなみに専業主婦の方が拠出した分で夫の所得控除を受けることはできません。所得控除が受けられるのは自分名義で拠出した分のみです。ご注意下さい。
iDeCoの税制メリットは拠出金の全額所得控除以外にもあるのですが、次に述べる理由により、専業主婦の方においてiDeCoを利用するメリットはないと言えるでしょう。
専業主婦×iDeCoはメリットがない3つの理由
専業主婦の方にとってiDeCoはメリットがないことの説明を、つみたてNISAと比較しながらご説明します。
お金が60歳まで引き出せない
iDeCoは60歳までお金を引き出すことができません。老後のための資産形成が目的ですので引き出せないことはよい面もあるのですが、かなり厳しい制限であると言えます。
つみたてNISAであればいつでもお金を引き出すことが可能です。
受け取り時に課税される可能性がある
iDeCoは「受け取り時も税制優遇される」のですが、完全な非課税ではありません。あくまで優遇措置です。
退職所得控除を超えた分については課税がされます。
退職所得控除の金額は「40万円×勤続年数(iDeCo拠出年数)」です。主婦の方が拠出できる最大金額は年27万6千円ですから、運用により40%程度資産が増加すると課税の可能性が出てきます。
運用益は非課税であっても受け取り時に課税されては悲しいですね。つみたてNISAであれば、どんなに運用益が発生しても完全に非課税です。
拠出額がつみたてNISAよりも少ない
前述のとおり、主婦の方がiDeCoで拠出できる金額は年23万6千円までです。年間40万円拠出できるつみたてNISAと比べて少ない金額です。
専業主婦×iDeCoはメリットがない理由まとめ
専業主婦の方にとってiDeCoをやるメリットがないのは、あらゆる面においてつみたてNISAのほうが優れているからです。
税制面においては、運用時だけでなく受け取り時も非課税であるつみたてNISAのほうが有利です。その他の側面においても、いつでも途中引き出しができ、拠出金額の上限の大きいつみたてNISAのほうが有利です。
iDeCo | つみたてNISA | |
<税制面> | ||
拠出時 | 優遇なし(主婦の場合) | 優遇なし |
運用時 | 非課税 | 非課税 |
受け取り時 | 退職所得控除内で非課税 | 非課税 |
<その他> | ||
途中引き出し | 60歳まで引き出しできない | いつでもできる |
年最大拠出額 | 23万6千円 | 40万円 |
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